「こんなお嫁さんがいたらいいなぁ」。西岸良平の人気漫画を実写映画化した『DESTINY 鎌倉ものがたり』で、堺雅人扮するミステリー作家・一色正和の新妻・亜紀子を、ほっこり、愛らしく演じた高畑充希。メガホンを取った山崎貴監督も、「少女のような幼さと母性溢れる若い奥さん、2つの顔を表現できるのは彼女しかいない」と太鼓判を押す。映画、ドラマ、舞台にと、実力派女優として成長著しい高畑が、初共演となった大先輩・堺の意外な素顔や、本作で描かれた年の差カップルを通して感じた自身の結婚観について真摯に語った。

――予想以上にスペクタクルな内容に度肝を抜かれました。高畑さんは完成作品を観ていかがでしたか?

高畑:前半は、夫婦の物語が中心なので、ある程度イメージできたんですが、後半はCG映像が多く、ほぼグリーンバックで撮影していたので、あそこまですごいことになっているなんてつゆ知らず(笑)。私の想像を遥かに越えるエンタテインメント作品でしたね。お客様は絶対にビックリすると思います。口コミで広がってくれるといいなって思います。

――グリーンバックでの演技はやはり難しかったですか?

高畑:いろんなものが目に見えない中での演技だったので、最初は不安でしたが、山崎監督の頭の中に出来上がっている“イメージ”を信じて演じました。個人的には、魔物の天頭鬼(声:古田新太)と会話するシーンが多かったのですが、自分が想像していた風ぼうと全く違うキャラクターだったので、ビックリもしたし、うれしくもあったし、また、うまく演技を合わせられたかどうか、不安もありました。

――天頭鬼のキャラクターは、山崎監督から事前に知らされていなかったのですか?

高畑:「大体こんな感じです」って見せてくれたイラストが、オオサンショウウオみたいだったんですよ。でも、出来上がったものを観たら、まるで違っていましたね。はい、嘘だったみたいです(笑)
 


――映画のクライマックスに壮大な「黄泉の国」が出てきますが、ご覧になって想像に近いものでしたか?

高畑:あそこまでは想像していなかったですね。なんだか、目がザワザワしました。『千と千尋の神隠し』が大好きなんですが、あの映画を最初に観たときのトキメキがありました。絵で描くことはできても、実際に作れるものではないと思っていたので、映像となって出てきたのを目の当たりにしたときは感激しました。

――「黄泉の国」は見る人によって風景が違うそうです。本作は堺さん演じる正和が思い描いた映像ですが、高畑さんならどんな国をイメージしますか?

高畑:私は温泉多めがいいですね(笑)。「黄泉の国」は癒される空間であってほしいです。先日、山崎監督が、「お花畑だけのところは、飽きるから嫌だな」っておっしゃっていたんですが、確かに! と思って。やっぱり、温泉がいっぱいあって、いいお宿があって、緑もあって、ゴハン屋さんもある、みたいな。現世以上に快適で、何なら「黄泉の国」の方がいいかも! っていうくらいに思いたいです。

――前半は仲睦まじい夫婦の等身大の姿が描かれていました。堺さんとの共演はいかがだったでしょうか。

高畑:ほぼ順撮りだったのですが、やっぱり序盤は、大先輩ですし、今までこの年齢差でイチャイチャするのを求められることがなかなかなくって、緊張しましたね。一歩間違えると、お互いに「危ない感じになる」っていう予感が何となくあったので、とにかく気持ちの距離は縮めておきたいなっていうのはありました。最初はお互いにぎこちないところはありましたが、撮影を重ねるうちに、一緒にいる時間も増えてきたので、いつの間にか心を開いていました。
 

――堺さんって底抜けに明るいイメージがあるので、すぐに打ち解けたのかなと思っていました。

高畑:イメージ通り、本当に明るい方ですよ。ただ1点、私生活が全く見えない方だったので、あんまり根掘り葉掘り聞かないほうがいいのかな? と思っていたら、予想以上にオープンな方で。それが分かった後は、どんどん距離が縮まって、開けっぴろげなお話もたくさんさせていただきました。あとは、お互いに本を読むのが好きなので、待ち時間に横並びで座って、二人でずっと本を読んでいる時間もありましたね。

――本の内容を語り合ったり、情報交換したり、ではなく、横並び…?

高畑:そうなんです、二人並んで黙々と(笑)。堺さんは物語が苦手のようで、難しそうな専門書を読んでいたようですが、私は逆に小説が専門なので、そこは全く交わらず。でも、お互い黙々と読みふけって、たまにふっと顔を上げて、どうでもいい話をして、そのあと、動画サイトで芸人さんのネタを見てゲラゲラ笑ったり。まるで、一緒にいるのが当たり前のような自然な空気感がとても心地よかったです。

――劇中、年の差婚を疑似体験されたわけですが、どんな感触でしたか?憧れたりするのでしょうか。

高畑:私は、どちらかというと、同世代よりも年上の方と深い話をすることが多いかもしれません。女性もそうですが、すごく仲良くなって、あとで年齢を聞いたら、自分より全然年上だった! ということが結構あったり。自分の中に“年齢”という概念が薄いのかもしれません。もちろん、年上の方は無条件に尊敬しています! ただ、年上にも関わらずまるで友達のように接してくれる素敵な大人の方が周りに多いので。ただ、正和と亜紀子の役柄として、「ちゃんと夫婦に見えるにはどうしたらいいんだろう」と悩みました。
 

――亜紀子さん役が本当に似合っていました。

高畑:ありがとうございます。亜紀子さんは、本当にできた人だと思うから、世の男性が「こういう奥さんが家にいたらいいなぁ」って思っていただける人にならなきゃっていう、なんだか妙なプレッシャーを感じながら演じていました(笑)

――山崎監督が、幼さと母性を併せ持った亜紀子を演じられるのは、高畑さんしかいないとおっしゃっていました。

高畑:亜紀子さんは、正和さんのことをサポートするのがすごく上手。私はこんなにできた人ではないので、意識すればするほど演じるのが難しかったですね。やはり、原作があるということも大きなプレッシャーでした。一色夫妻のモデルは、原作を書かれた西岸先生ご夫妻とお聞きしていたので、まず、ご本人たちにがっかりされたくない、心から喜んでいいただきたい、という思いがありました。原作ファンの方もいろいろご意見があり、賛否が出ると思いますが、その中でベストを尽くして、いい作品にすることができたら、というのが私の願いです。撮影が終わるたびに、「ああ、これでよかったんだろうか?」と凹んでばかりいたんですが、堺さん、山崎監督が寛容に受け止めてくださったのが救いでしたね。
 

――最後に、高畑さんにとって、これは“運命の出会い”だったなと思える人、あるいは出来事はありますか?

高畑:デビュー作『山口百恵トリビュートミュージカル「プレイバックPart2屋上の天使」』のオーデションのときの話ですが、実家で法事があって行けなくなったので、ホリプロに連絡を入れたら日程をずらしていただいて。後日、大阪から東京まで一人でオーデションを受けに行ったんですが、当時、まだ中学2年生の子供だったので、「その歳で一人でここまで来るなんて」という話から、いろいろ相談に乗っていただくことになって、結局、その流れから合格をいただきました。それが全てではないと思いますが。その日が法事じゃなかったら、普通にオーデションを受けていたので、全く違う人生を歩んでいたかもしれません。そう考えると、一つ一つの出来事が、明日につながる“運命”なのかもしれませんね。
(取材・文:坂田正樹、写真:坂本碧)

『DESTINY 鎌倉ものがたり』
『DESTINY 鎌倉ものがたり』

本作は、西岸良平の人気漫画『鎌倉ものがたり』を、同じく西岸の原作『ALWAYS』シリーズでメガホンを取った山崎監督が実写映画化したファンタジー。舞台は、人間だけでなく幽霊や魔物も棲むという鎌倉。犯罪研究や心霊捜査にも詳しいミステリー作家・一色正和(堺)は、新妻・亜紀子(高畑)と幸せな新婚生活を送っていた。ところがある日、魔物のいたずらによって亜紀子から魂が抜け出し、黄泉の国へ連れ去られてしまう。それを知った正和は、愛する妻を取り戻すため、生死を超えた冒険の旅に出る。

映画『DESTINY 鎌倉ものがたり』は12月9日より
全国公開。

高畑充希
1991年生まれ。大阪府出身。2007~12年まで、8代目ピーターパンとしてブロードウェイミュージカル『ピーターパン』の主演を務める。2016年、NHK連続テレビ小説『とと姉ちゃん』のヒロイン役に抜擢され、同年、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』で岩田剛典と共に映画初主演。以降、舞台『エレクトラ』、日本テレビ系ドラマ『過保護のカホコ』、そして本作と、実力派女優として精力的に活動している。現在、2018年カレンダーが発売中。2018年にはドラマスペシャル『忘却のサチコ』(テレビ東京系/2018年1月2日放送)にて主演を務める。また『「リトル・マーメイド」イン・コンサート』にアリエル役で出演。

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