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セリーヌ・シアマ最新作『秘密の森の、その向こう』 時空を超えて友情を育む娘と母の新カット

映画

映画『秘密の森の、その向こう』場面写真
映画『秘密の森の、その向こう』場面写真(C)2021 Lilies Films / France 3 Cinéma

 映画『燃ゆる女の肖像』のセリーヌ・シアマ監督最新作『秘密の森の、その向こう』より、時空を超えて友情を育む娘と母親の姿を情感豊かに捉えた新場面写真が解禁された。

【写真】作品誕生につながったファーストイメージカット

 本作は、8歳の少女を主人公にした<喪失>と<癒し>の物語。シアマ監督が『燃ゆる女の肖像』でセザール賞撮影賞を受賞したクレア・マトンと再びタッグを組み、真骨頂である女の深淵を描きつつ全く新しい扉を開く、深い余韻を残す作品だ。

 8歳のネリーは両親と共に、森の中にぽつんと佇む祖母の家を訪れる。大好きなおばあちゃんが亡くなったので、母が少女時代を過ごしたこの家を片付けることになったのだ。だが、何を見ても思い出に胸をしめつけられる母は、一人出て行ってしまう。残されたネリーは、かつて母が遊んだ森を探索するうちに、自分と同じ年の少女と出会う。母の名前「マリオン」を名乗るその少女の家に招かれると、そこは“おばあちゃんの家”だった―。

 ネリーとマリオンを演じるのは、本作が映画初出演となるジョセフィーヌ&ガブリエルのサンス姉妹。第71回ベルリン国際映画祭コンペティション部門での上映を皮切りに、各国の映画祭で上映され、絶賛評を受け続けている。

 新場面写真は7点。シアマ監督が本作の物語を構想したのは、『燃ゆる女の肖像』の脚本を執筆していた頃。当時「ひとつのビジュアルのイメージがふっと降りてきた」と明かしているのが、今回解禁となった場面写真のうちの1枚で、秋らしい色彩の森の中で小屋を前に幼い少女ふたりが佇む場面だったという。

 シアマ監督は、それを娘とその母親にしたいと考え、“ある少女が時空を越えて、子どもの頃の母と出会い友情を育む”というシンプルなアイデアを徹底的に掘り下げていった。この場面は、ネリーがかつて母が遊んだ森を探索していて出会った、母と同じ名前「マリオン」と名乗る同じ年の少女を手伝い、ふたりだけで完成させた小屋を誇らしげに眺めている様子を捉えたもの。共に一つのことを成し遂げ肩を組んだふたりの背中からは、どこか絆のようなものが漂う。舞台となった森は、監督自身が幼い頃によく遊んでいたというなじみの森。撮影時は、真っ赤に染まった秋の森という監督のイメージを忠実に再現するため、沢山の押し葉が散りばめられた。

 写真にはそのほか、家を処分するために訪れた祖母の家で、ネリーと母マリオンが、母が幼い頃に使っていたノートを見ている様子や、森の中やその周囲でネリーと幼いマリオンが唯一無二の友情を育むカットなども。

 本作についてシアマ監督は「シンプルで分かりやすい設定だからこそ、映画にできるかどうか悩んだ。ものすごく慎重に作り上げた物語」とコメント。わずか数日の間、それぞれに喪失感を抱える娘と母が時空を越えて出会うことで心に変化が生まれていく様を切り取った、情感豊かなカットとなっている。

 映画『秘密の森の、その向こう』は、9月23日より全国順次公開。

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