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『シークレット・インベージョン』テレビプロデューサー・佐久間宣行が考えるスクラル人攻略法とは?

海外ドラマ

提供:ディズニープラス

  • マーベルファンの佐久間宣行が最新ドラマシリーズ『シークレット・インベージョン』を鑑賞!

     6月21日より、マーベル・スタジオが新たに贈る最新ドラマシリーズ『シークレット・インベージョン』が「Disney+(ディズニープラス)」で独占配信開始となった。本作は、アベンジャーズの創設者にしてS.H.I.E.L.D.(シールド)の元長官であるニック・フューリーが、あらゆる人物に“擬態”できる能力を持つスクラル人の“シークレット・インベージョン(地球侵略計画)”の阻止に挑む本格サスペンス・スリラーだ。今回クランクイン!では、『ゴッドタン』『ウレロ☆シリーズ』(ともにテレビ東京系)などの人気作品を手掛けるテレビプロデューサーの佐久間宣行にインタビューを実施! 無類の海外ドラマ好きである佐久間に『シークレット・インベージョン』の魅力をたっぷり語ってもらった。

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  • 『シークレット・インベージョン』には、かつて夢中になった海外ドラマのテイストがある

     アイアンマンらをアベンジャーズへと導き、スパイダーマンの“保護者”としても活躍してきたニック・フューリー。彼がアベンジャーズを結成したのは「地球外からの侵略を阻止するため」だった。しかし、この最強チームが表舞台から消えた時、あらゆる人物に擬態するスクラル人が企てる “シークレット・インベージョン(見えざる地球侵略計画)” で人類は滅亡の危機に晒される…。周囲の人間たちさえスクラル人の“擬態”かもしれず、誰が敵で味方かわからない中、フューリーはこの恐ろしい“侵略”にひとり、立ち向かう――。

    ――『シークレット・インベージョン』はサノスの指パッチン後の世界を描いています。久しぶりにニック・フューリーと“再会”した感想を聞かせてください。

     フューリーには元々多少のユーモアがありましたが、ハードボイルドになり絶望を抱えて戻ってきたように感じました。

    ――ニック・フューリーという人物がフォーカスされるのは初めてですよね。

     フューリーは満を持しての主演という感じですものね。重要な作品に重要な役で出演していながら、これほどまでバックグラウンドが明かされていなかったキャラクターは初めて。15年経ってから描かれることに、びっくりしています。僕は『アベンジャーズ/エンドゲーム』が終わってからのフェーズ4のマーベルドラマが大好き。『ファルコン&ウィンター・ソルジャー』も『ミズ・マーベル』も『ワンダヴィジョン』も、みんな好きでした。それぞれの作品ごとにテイストが違うので、そこがドラマを見る一つの楽しみになるのですが、今回の『シークレット・インベージョン』では僕の一番好きな世界観が入ってきたという感じですね。スクラル人が出てきて誰が裏切っているのか分からないという物語には、僕が夢中になった海外ドラマ『24 -TWENTY FOUR-』などのテイストも感じます。久しぶりに、そういうタイプのドラマを観ている感じがして、すごくワクワクしました。そして、この作品の主役をはれるキャラクターはニック・フューリーしかいないと思いましたね。

    ――サミュエル・L・ジャクソンの存在感も見どころでした。

     本当にそうですね。なにしろ僕はサミュエル・L・ジャクソンが過激な言葉をたくさん言っている映画を見てきた世代ですから(笑)。サミュエル・L・ジャクソンの吹き替えを竹中直人さんが演じていらっしゃるのは嬉しかったですね。竹中さんの吹き替えが聞きたかったので、今回はあえて吹き替えで観ました。

    ――吹き替えの魅力はいかがですか?

     僕はタロス役の関俊彦さんも大好きです。竹中さんと関さんの掛け合いの部分は「いい声対決」で最高でした。

    ――サスペンス・スリラーである本作は、「誰が敵で、誰が味方か分からない」と疑いながら物語を追っていかなくてはなりません。

     1話の段階で、「嘘だろ」って気持ちでした。信じたくないことがありましたね。だから全てニック・フューリーの作戦であってほしいと思っているのですが。

  • スクラル人のように強いけれど少数派という種族がかかえる問題

    ――スクラル人の「シークレット・インベージョン(見えざる地球侵略計画)」の規模感の大きさにも驚きますよね。

     こんな大きな話、「ドラマでやっちゃって大丈夫なの?」と思いましたよ。1話の時点ですでにスケールの大きさを感じています。モスクワのシーンなんかはびっくりしました。あとは、本当に僕の好きな役者ばかりが出ていますね。エミリア・クラークも好きだし、ドン・チードルもマーティン・フリーマンも。こうした役者が揃っていることにも豪華さを感じました。

    ――既に鑑賞された中で、印象に残ったことはありましたか?

     本作がタロスとフューリーのバディものみたいになりそうなところです。『シークレット・インベージョン』は異星人とのバディものとしての楽しみと、スパイものの面白さを掛け合わせた「いいとこ取り」のドラマだなと感じました。僕が20代~30代の頃に楽しんで見ていた洋画や、海外ドラマの要素がガッツリ入っていることが嬉しいです。

    ――本作はフューリーがこの大きな問題をどのように解決していくのかが軸になっています。

     スクラル人の本当の目的が完全な侵略なのか、それとも首相のような影響力が強い人たちをどんどん挿げ替えていく計画なのか、まずそこが気になりますね。スクラル人はすごく強いけれど、少数派。そういう種族がどうやって生きていくのかという問題は、スーパーヒーローものには常にあったと思います。見ようによっては、スクラル人も侵略みたいな手立てを取らなかったら、どんどん権利も立場も失っていく種族だと考えると、この戦いは避けられないのかなとも思いました。

    ――スクラル人のキャラクターの中では誰が印象的でしたか。

     グラヴィクは、あんなに激しいテロを行うように見えないくらい、ずっと悲しい顔をしていましたね。完全に絶望して腹を決めた人の顔をしている。あの迫力はすごいと思いましたし、本当はどう思っているのかが知りたいです。興味を引かれるキャラクターだなと思いました。

  • フューリー自身の悲しみを全て抱えた重厚なサスペンスアクションドラマ

    ――普段作り手側でいる佐久間さんには作品の見え方がまた違ってくるのかなと思います。プロデューサー視点で面白かったということがあれば聞かせてください。

     満を持してニック・フューリーの主演ドラマを作るときに、サミュエル・L・ジャクソンの渋みを完全に活かしたテイストのドラマにしたというのがやはりいいなと思います。サミュエルの場合、もっとポップでくだらない笑える方向の作品もたくさんあるのですが、ゴリッと渋い重厚なドラマにしたことに「おお!」と思いました。僕はフューリーのめちゃくちゃ楽しいドラマも良いと思っているけれど、せっかくドン・チードルとかマーティン・フリーマンという役者を揃えたのならばサスペンスを見たいですよね。

    ――キャストも含めてこれは絶対面白くなるぞと?

     そうですね。サスペンスって安っぽいキャストでやると、もう「誰が犯人でもいいわ」と思っちゃうところがあるので(笑)。これは重みのあるキャストだからこそ興味が沸きます。

    ――佐久間さんが執筆された『佐久間宣行のずるい仕事術』のマネジメントの章で「問題があったら人を責めずに仕組みを変える」というような話があったと思います。もしも佐久間さんがニック・フューリーの立場で、スクラル人のように不満を抱えている人と出会ってしまったら、どうするべきなのかを教えていただけますか。

     このくらい怒りと絶望を抱えた人たちと向き合うときには、自分も何か大事なものを切るくらいの覚悟で誠実に接さないと信用は得られないように思います。いっそ友達とは思わず「お互いドライに付き合いましょう」と、持っている武器を見せ合って交渉する。それが大事だと思いますね。マネジメント論で後輩によく言うのは、絶対分かり合えないと思って仕事をした方がいいということです。分かり合えていると思うから喧嘩もするし、希望を持つから絶望する。相手に期待するからがっかりするので、基本的には世代が違う相手とは分かり合えないと思ったところから仕事を始めた方がうまくいくと伝えています。ですから僕がフューリーの立場だったらスクラル人とは分かり合えると思って付き合わないです。交渉だと思って接することが大事かと思いますけれどね。

    ――この後の『シークレット・インベージョン』に期待したいことは?

     実は『エンドゲーム』を経て一番傷ついたのはフューリーじゃないかと思っています。盟友がほとんどいなくなっちゃったわけですから、いつも鉄面皮でいたフューリーの心が、本当は一番ズタボロな状態なんじゃないかな。その中で感情を隠して頑張るフューリーのかっこよさとか悲しみみたいなものがサスペンスドラマとしても楽しみです。加えてフューリー自身の人間味が出てくるのも楽しみだなと思っています。ですから、その2つに期待したいですね。

    ――最後に本作の魅力を一言でお願いします。

     アベンジャーズの一員と言っていいほど象徴的な人物であるニック・フューリーが主演ということで、待ってましたという気持ちです。そのドラマが、フューリー自身の悲しみを全て抱えた重厚なサスペンスアクションになっているということが、僕は本当に嬉しいし、面白いなと思っています。いい役者がたくさん出ているので、彼らの演技合戦もすごく楽しみですね。昔の海外ドラマが好きだった人たちにとっても、楽しんで観ることのできる作品だと思いますし、これまでのフューリーの活躍をあまり知らない人がみても十分おもしろいと思います。

  • 『シークレット・インベージョン』は、ディズニープラスで独占配信中。最新話は毎週水曜16時配信。

(C)2023 Marvel


取材・文=Nana Numoto、クランクイン!編集部/写真:松林満美

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