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TVアニメ『恋は雨上がりのように』渡部紗弓×平田広明インタビュー

アニメ

 累計発行部数185万部を突破する眉月じゅんの人気コミック『恋は雨上がりのように』が、テレビアニメとなって登場する。17歳の女子高生橘あきらと、あきらのバイト先の店長・近藤正己、45歳。年齢差のある2人が織りなす、ピュアな純愛を描く物語だ。あきら役に抜擢となったのは、テレビアニメ初主演となる渡部紗弓。近藤役を実力派の平田広明が演じるなど、どんな化学反応が生まれるか楽しみな組み合わせが実現した。インタビューを試みると、不安な中、真っ直ぐにぶつかろうとする渡部と、大きな懐で包み込むような平田の姿を目にすることができた。

――人気コミックのアニメ化で、陸上部のエースだったが、怪我で走ることをやめてしまったあきらと、冴えないファミレスの店長・近藤を演じられます。抜擢の感想から教えてください。

渡部:オーディションを受けて、「決まりました」と聞いたときは本当にびっくりして、ちょっと泣きそうになりました。ノイタミナという枠であることに加えて、原作も好きな方が多い有名な作品。連絡が来て3日くらいまでは喜んだのですが、それ以降は「どうしよう…」と緊張が増してきました。店長役が平田さんだと聞いて、また緊張して。収録が始まってからも、プレッシャーが大きくなっています。
 

平田:僕は今回のお話をいただくまで、原作を存じ上げなかったんです。役どころを聞いてみると、女子高生に好かれる“ダメ店長”だと。「なるほど、まあそうね」と思いました。僕にお話をいただいたということは、白馬に乗ったお兄様ではないのだけは確かですからね。“ダメ店長”がかわいらしい女の子に好かれるってどんな話なんだろうと、先が気になりました。

――渡部さんはオーディションだったとのこと。その際の手応えはいかがでしたか?

渡部:オーディションで「自然にやってほしい」と言われました。私はナレーションのお仕事が多いのですが、ナレーションでは「自然に読んでほしい」と演出を受けることも多いので、そのような感じでやりつつ、あきららしさをプラスしてみようと思いました。アニメのお仕事で「自然にやってほしい」と言われたのは初めてだったので、「もしかしたらご縁のある作品になるかもしれない」と思いました。
 

平田:「自然にやって」と言われるのは、役者にとって実はとても難しいんです。“普通”や“自然”って、その人それぞれ感じ方が違いますから。脚本を読むと、想像していたよりも設定がリアルなので、僕も「これは大変だなぁ」と思いました。オバケをやるなら、「こういうオバケなんだッ!」と言い切っちゃえばいい、誰もオバケをまじまじ観察したことがないんですから。でも近藤は実際に身近にいるような人物なので、リアルに演じなければすぐに嘘がバレてしまう。監督は以前に『宇宙兄弟』でご一緒させていただいて、「平田は普通の人だから、近藤役に」と思ってくれたのかもしれまけど。『宇宙兄弟』の南波六太もある面ではすごく普通の人ですが、近藤はもっと普通に日常を暮らしている人物ですから、そういった意味では、今までで一番難しい役かもしれません。
 

――演じるキャラクターの魅力をどう感じていますか?

渡部:あきらには色々な過去があってクールなイメージもありますが、普通の17歳の女の子で真っ直ぐな女の子だと思います。好意を向ける相手には笑顔を見せたり、嫌な相手には辛辣だったりもしますね(笑)。“無愛想”というイメージが強かったので、感情の波が激しく出るシーンはとても難しいです。監督とお話をしながら、リテイクを重ねるときもあります。過去もあるけれど、普通の女子高生なんだという土台を意識してやりたいと思っていますが、その構築したものを保持するのがなかなか難しくて…。悩むことも多いですね。
 

平田:近藤の誠実さや彼の持つ人間らしさを演じるのは難しいですね。でも、今できることをやるしかない。経験値は多少ありますが、僕だってそれは同じことです。監督や客観的に見てくれる人を信じて、やるしかありません。あとから見て、「下手くそだったな」と思うのは必然です。僕も昔の作品を見ると、本当に下手くそでイヤになっちゃう。でも、それは形に残る仕事をやっていく限り、宿命です。そのときに手を抜いていたら後悔するけれど、そのとき精一杯やっていればしょうがないと思える。それにのちのち「下手くそだ」と思うのは、そのときより歩しているからそう思うわけですよね。力いっぱいやるしかないんです。
 

渡部:今しかできないこともある…そうですよね。私も今できることを精一杯やりたいです!

――心に響きます!では改めて、平田さんは近藤の魅力をどう感じていらっしゃいますか?

平田:とても誠実な男ですよね。部屋が汚かったり、吸殻がてんこ盛りだったり少々不精な面もありますが、息子は大事にしていますし、仕事に対しても真面目。多少不器用でも誠実であることって、一番大事なことだと思います。それに、年齢を重ねていくと過去の栄光や自慢話を語る大人って増えていくもの。でも、近藤はそういうタイプじゃないですよね。僕も目上の方と接していて、常に等身大で居られる方ってすごく素敵だと思うんです。素敵だな、好きだなと思う人は、いつでも前を向いている。「もうあまり前を見るな!ちょっとは追いつかせろ!」と思うくらい。近藤も今できることを一生懸命、前向きにやっているところが素敵だと思います。
 

――ラブストーリーであるとともに、それぞれの再生の物語でもあります。お二人にとって、立ち止まったこと、そこから立ち直ったご経験はありますか?

平田:先ほどのお話にも通じますが、芝居のやり方は人それぞれなので、意見がぶつかったり、ダメ出しを素直に聞けなくなるときもあります。でもある先輩の「どんなダメ出しを受けても、まずはやってみる」という姿勢を見たときに、「僕はなんて小さいところで固まっているのか」と気付かされたことがありました。先輩の姿って大きいんですよ。「僕は下手くそなんだ」と気付いたときも、気持ちが楽になった瞬間ですね。それならば、もっと脚本を読み込んだり、一生懸命稽古したりすればいいと、やるべきことが見えてきました。それからは、演技に対してウジウジ悩むことがなくなったように思います。
 

渡部:私はナレーションのお仕事をしていたときに、言葉が上手に繋げられないなと悩んだときがあって。そんなときに事務所の先輩に「あまり考えないで。気持ちが繋がっていれば、言葉は繋がっていくよ」と言っていただいて。私はがんじがらめになっていたんだなと、救ってもらったような気持ちになりました。それからは困ったときは、その言葉を思い出しています。また、まさに今、平田さんのお話からも「頑張ろう!」と励まされました。先輩方の姿勢や挑戦する力はすごいです。私もたくさん力をもらって、バネをつけてまた頑張りたいなと思っています。
(取材・文・写真:成田おり枝)

 『恋は雨上がりのように』は、2018年1月11日よりフジテレビ“ノイタミナ”にて毎週木曜24時55分から放送開始。ほか各局でも放送。

『恋は雨上がりのように』
『恋は雨上がりのように』

累計発行部数185万部を突破する眉月じゅんの同名人気コミック『恋は雨上がりのように』のTVアニメ化作品。2014年より連載を開始し、“純粋な正統派ラブストーリー”として話題を呼び『マンガ⼤賞2016』『このマンガがすごい!2016』オトコ編などにランクインした注目作。「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)にて連載中。

渡部紗弓
誕生日:9月25日 出身地:北海道
『ケンブリッジ白熱教室』『news every.』『ザ・世界仰天ニュース』『情熱大陸』などのナレーションを担当。『血界戦線&BEYOND』『タブー・タトゥー』への出演のほか、本作がTVアニメ初主演となる。

平田広明
誕生日:8月7日 出身地:東京都
洋画の吹替えやアニメ、ナレーションのほか俳優としても活躍する人気声優。TVアニメでは『TIGER & BUNNY』『ONE PIECE』『宇宙兄弟』など、数多くの代表作を持ち、ジョニー・デップの日本語吹替え声優としても知られる。

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