クランクイン!

  • クランクイン!ビデオ
  • クラインイン!コミック
  • クラインイン!トレンド

  • ウェブ全体を検索
  • このサイト内を検索

仲野太賀、『この恋あたためますか』に見る“演技派”からたどり着いた“リアコ”枠

エンタメ

■どんな役もリアルに…仲野太賀の鋭い観察力

 これは実は仲野の類まれなる「観察力」によるものなのではないかと、常々感じていた。

 それを強く感じたのは、仲野が南海キャンディーズ・山里亮太役で主演している現在放送中の『あのコの夢を見たんです。』(テレビ東京系/毎週金曜24時12分)である。これは、山里が創作した初の短編小説を原作とし、毎回、実在する女優やアイドルを題材にして、山里が「現実逃避」で妄想を繰り広げるオムニバスだ。

 第1話冒頭から度肝を抜かれたのは、目のアップだけで、ちゃんと山里に見えること。赤いメガネという小道具以上に、眼鏡越しに見えるすわった目と、ちょっと半開きの長方形っぽい口、肩が落ちた感じの後ろ姿……警戒心を漂わせながら目を細めて周りをうかがう様子も、唇の噛み方も、本当に芸が細かい。ご本人は「モノマネにならないように気を付けた」ということだが、あえてそのように意識しなければいけないほどに、他者の微妙な仕草や表情のクセなどを、無意識に観察して吸収してしまう性質があるのではないか。

 優しく良い人そうな役も、振り切れたおバカな役も、身勝手な役も、そうした彼の鋭い観察力によって蓄積された豊富な引き出しから、さまざまな人のさまざまなピースを取り出して組み立てているように見える。だからこそ、どの役もリアルで、説得力があるのではないか。そして、その人間としてのリアルさを恋愛方面に振ると、一気に生々しさが身近にいそうな「リアコ」枠になる気がする。

 芸達者ゆえの「演技派」俳優を、恋愛モノに起用するのは、恋の心の機微において思いがけないリアルさを生む。そういった意味で、仲野太賀の起用は、おそらく作り手の予想・期待を大きく上回る反響を生んでいるような気がしてならない。(文:田幸和歌子)


<田幸和歌子>
1973年生まれ。出版社、広告制作会社勤務を経てフリーランスのライターに。週刊誌・月刊誌等で俳優などのインタビューを手掛けるほか、ドラマコラムをさまざまな媒体で執筆中。主な著書に、『大切なことはみんな朝ドラが教えてくれた』(太田出版)、『KinKiKids おわりなき道』『Hey!Say!JUMP 9つのトビラが開くとき』(ともにアールズ出版)など。

2ページ(全2ページ中)

この記事の写真を見る

関連記事

あわせて読みたい


最新ニュース

  • [ADVERTISEMENT]

    Hulu | Disney+ セットプラン
  • [ADVERTISEMENT]

トップへ戻る