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『おかえりモネ』あえて“見せない”表現の中で、清原果耶が“見せる”もの

エンタメ

■清原果耶の「目」で“見せる”表現

 直接描かないからこそ、視聴者は過去も現在の風景も、人々のあり方も、百音の目をフィルターとしながら、自身の記憶やこれまで見聞きしてきた映像や記事などから補完し、想像しつつ観ることになる。

 視聴者の中には、清原の表情のアップが多いことに気付いている人もいるだろう。確かに、これほどまでにヒロインの表情を中心に据えた作品は近年では珍しい。

 本作と同じ清原果耶主演×安達奈緒子脚本がタッグを組んだNHKドラマ10『透明なゆりかご』(2018年)で、産婦人科医院でアルバイト勤務をする主人公・アオイを演じた清原は、「命」を真っすぐに見つめ、静かながらも豊かな感情をたたえた「目」の演技が高く評価されていただけに、『透明なゆりかご』がヒントとなっている部分ももちろんあるだろう。しかし、それだけではない。

ドラマ『透明なゆりかご』に出演した頃の清原果耶
 朝ドラの歴史を振り返ると、かつて新人女優の登竜門だった時代には、ヒロインのアップが多用されたこともあった。例えば、現役タカラジェンヌの純名里沙がヒロインを務めた『ぴあの』(1994年)の場合、舞台経験値は抜群ながら、映像仕事に不慣れだったために、苦労したことを本人が後に幾度かインタビューで語っている。映像経験の乏しさゆえに、舞台特有の大きな芝居になって浮いてしまう違和感を、ヒロインのアップで解消していたわけだ。

 しかし、清原の場合、まだ19歳ながら、映画やドラマなど、映像の世界でその演技力はすでに高い評価を得ている。それどころか、さまざまな角度からの難しい表現を清原であればこなせるだろうという期待、判断から、ヒロインの表情を中心に据えた演出になっている気がする。

 百音の「目」を媒介として、人々の姿や抱えるもの、現在と過去という時間の推移などを描くために、目の演技が非常に重要な意味を持つ『おかえりモネ』。達者なヒロインを配置したからこそ可能となる省略や余白の表現をどこまで汲み取れるかは、視聴者側の感受性に委ねられたところもあるのかもしれない。(文:田幸和歌子)

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