平岳大、米移住から5年 “家賃の心配”した過去→『SHOGUN』『キャプテン・アメリカ』出演までの道のりを語る

2020年3月からハワイに拠点を移し、国際的に活躍する俳優・平岳大。BBCとNetflixが共同制作したドラマ『Giri / Haji』ではBAFTA英国アカデミー賞テレビ部門で主演男優賞に、『SHOGUN 将軍』では第76回エミー賞ドラマシリーズ部門・助演男優賞にノミネートされるなど、この5年間で目覚ましい活躍をしている平は、2月14日公開の映画『キャプテン・アメリカ:ブレイブ・ニュー・ワールド』に日本の尾崎首相役で出演する。本作には、新たなキャプテン・アメリカとなったサム・ウィルソンを演じるアンソニー・マッキーのほか、アメリカ大統領となったサディアス・ロス役でハリソン・フォードも登場。平は、アンソニーとハリソンとの共演の喜びや大規模な撮影現場の様子などを語る一方で、拠点を移した当初は「家賃が払えないかもしれない」と感じた瞬間もあったと振り返る。
【写真】大人な着こなし 平岳大、撮り下ろしショット
■ハリソン・フォードは「神様みたいな人」
――今回はどのような形で尾崎首相役のオファーが来たのでしょうか?
平岳大(以下、平):撮影が約2年前だったので、その少し前だったと思います。『SHOGUN 将軍』の撮影の後に、急に決まりました。僕のエージェントに電話がかかってきて、エージェントから「『キャプテン・アメリカ』のオファーがあるけど?」と聞かれたので、「やるでしょ」と二つ返事でお受けしました。日本の首相役だとは分かっていたのですが、それ以上の詳細を知らされなくて、いろいろ聞いてみたんですけど守秘義務があって、本番当日まで役についてほぼ何も分からないままの状態が続きました。
――『SHOGUN 将軍』で共演された、真田広之さんや浅野忠信さんは、マーベル・スタジオ作品に出演されていましたが、お二人とマーベルトークなどはしたのでしょうか?
平:エミー賞の授賞式の時に絶対に聞こうと思っていたんですけど、会場に着くと、エミー賞のことで頭がいっぱいになってしまいました(笑)。
――マーベル・スタジオ社長のケヴィン・ファイギからお話を聞いたりは?
平:ケヴィン・ファイギとはなかったのですが、監督のジュリアス・オナーとはZoomでミーティングをしました。いろいろ話した記憶があるんですけど、僕の出演した『Giri / Haji』を見てくださったみたいで、その話もしました。彼だけに決定権があるわけじゃないと思うんですけど、『Giri / Haji』が今回のオファーにつながったみたいです。
――予告編でちらっと映った平さんが演じる尾崎首相の姿は、一見笑顔ではあるけれども腹の中では何を考えているか分からない印象でした。
平:政治家さんって、バチバチにぶつかり合っても感情的にならず、むしろ感情的になった方が負けといったような雰囲気があるじゃないですか。言葉で押すというのでしょうか。そういったことを心がけて今回役作りをしてみました。
(左から)尾崎首相役の平岳大、サム・ウィルソン役のアンソニー・マッキー、サディアス・ロス役のハリソン・フォード (C)2025 MARVEL.
――『SHOGUN 将軍』ではプロデューサーの真田広之さんが、「本物の日本文化」の追求のためさまざまなアイデアを出したそうですが、今回、平さんが現場で日本についてのアイデアを出すことは?
平:日本のリアリティーを表現する瞬間がないかを常に考えているのですが、今回は長時間のシーンではないのと、僕とハリソンのギクシャクにより物語が動いていくので、台本の中に書かれたことを大切に作り上げることに集中しました。
――現場で会ったハリソンさんはいかがでしたか?
平:カメラワークや映像、物語の作り方を、誰よりも分かっているような感じがしました。「さっきこっちから撮ったから次はこうだよね」とおっしゃったり、僕が新しいことをしようとすると「さっきの方がいいね」と言っていただいたり…。それは悪い意味ではなく、後から考えてみると、納得するご意見なんです。モニターを見ると「おっしゃる通りです」と思ってしまう。でも、すごくやわらかく、まるで孫に手ほどきするような感じで伝えてくださるんですよね。本当にいい経験になりました。
――撮影外でハリソンさんとコミュニケーションは?
平:僕はご一緒するシーンが本当に少なかったのですが、こんなどこから来たのか分からないような僕でも仲間に入れてくださったのが印象的でした。ハリソンさんはキャリアが長いので、スタッフたちととても仲が良くて、いろんな話をされているんですけど、隣にいる僕に「今こういう話をしているんだ」「この人はディレクターなんだ」って紹介してくれて、話の輪に入れてくれるんです。本当に神様みたいな人でした。
ハリソンさんには待機用のテントが用意されているんですけど、僕や他の国の首相役の役者たちはスタジオの個室のようなところで撮影中は待機していて、そんな時もこちらに来て、セリフ合わせや雑談をしてくださるんです。「もう帰られるのかな」と思っても、まだ座っていらっしゃる。ハリソンさん流のコミュニケーションというか…。長時間待機して、エキストラさんを含め、みんなが疲れてきたなっていう瞬間でも、笑わせてくれて、「もう1回やろう!」とみんなを引っ張ってくれました。
――サム役のアンソニーさんはいかがでしたか?
平:アンソニーさんに日本語を教えたのは僕なんです! 僕は自分の出演シーン以外を知らないので、サムの日本版声優の溝端淳平さんに聞いたんですけど、とあるシーンでのセリフが僕が教えた言葉でした。アンソニーさんから「これで合ってる?」って聞いてきてくれて。本当に耳がいいみたいで、アンソニーさんは、そのセリフをすぐ言えたんですよ。だからすごいなって。『8 Mile』の時に、見たことのないシャープな俳優が出てきたなと思っていたので、まさか共演して日本語を教えるなんて想像もしませんでした。
今回はアトランタにあるタイラー・ペリー・スタジオで撮影したのですが、スタジオの敷地内にホワイトハウスのレプリカが建っているんです。内部もハリボテなんかじゃなくて、ちゃんと装飾がされていて、使っていない部屋が控室になるんですけど、そこで待機している時、アンソニーさんはずっとみんなを笑わせていました。
――守秘義務のため、限られた情報だけで役作りをするのは、これまでと違った経験だったのではないでしょうか?