水樹奈々、25年の感謝と進化——ニューアルバム『CONTEMPORARY EMOTION』が描く新たなステージ

歌手デビュー25周年イヤーを迎えた水樹奈々が、約2年半ぶりとなるニューアルバム『CONTEMPORARY EMOTION』を3月19日にリリース。「今この瞬間に湧き上がる感情」をそのまま詰め込んだという本作には、彼女の歩んできた軌跡と、さらなる挑戦への想いが凝縮されている。アルバム制作の裏側や楽曲へのこだわり、ファンへの感謝、そして未来への決意まで──そのすべてを語ってもらった。
【動画】水樹奈々の“新しい扉”を開いたリード曲「拍動」MV
■挑戦の連続が生んだ“エモーション”
――2年半ぶりのアルバムとなる『CONTEMPORARY EMOTION』ですが、今回はどんな1枚になりましたか?
水樹:まさに「今この瞬間に湧き上がる感情」をそのまま詰め込んだ、濃厚なアルバムになりました。前作『DELIGHTED REVIVER』は、ちょうどコロナ禍の真っ只中のリリースで「停滞してしまったエンターテインメントをもう一度盛り上げたい」という想いを込めた1枚でした。ジャケット撮影も、自分にとってのホームとも言える秋葉原や池袋、キングレコードのある護国寺周辺で行い、改めて「ここからまた頑張るぞ!」という気持ちを込めたのを覚えています。
それから2年半が経ち、世の中も少しずつ回復しながら、新しいスタイルや表現が次々と生まれる時代になったなと感じます。一度分断された人とのつながりが、デジタルを通じて逆に強くなったり、様々な境界線がなくなりグラデーションが広がったり。良くも悪くも“何でもアリ”な時代に突入したなと。だからこそ、自分の軸はしっかり持ちつつ、新しいものをどんどん取り入れながら、融合を楽しんでいきたい。そんな決意表明を込めたアルバムになりました。
そして今回は、歌手デビュー25周年イヤーの中でのリリースでもあります。これまでの歩みを大切にしながらも、「まだまだ攻め続けるぞ!」という気持ちをぎっしり詰め込んだ1枚になっています。
――タイトルに“エモーション”という言葉が入っていますが、制作期間中、感情が揺さぶられた瞬間はありましたか?
水樹:実は前作を作り終えた直後から、今回のアルバムに向けてデモテープを集め始めていたんです。そんな中で「こんな表現がまだ自分の中に眠っていたんだ!」と驚かされる瞬間が何度もありました。
挑戦的な楽曲も多く、「うわっ、またとんでもないモンスター曲ができちゃった……!」と(笑)。どうやって乗りこなそうか試行錯誤しながら向き合う時間は大変でもありましたが、それ以上にすごく刺激的で。「まだまだ新しい自分に出会えるんだ」という喜びが大きかったですね。
――ご自身の中でとくに“新しさ”や“挑戦”を感じる楽曲は?
水樹:まず、リード曲の「拍動」はまさに“何でもアリ”な楽曲になっています。ダンス、ロック、ラップが融合し、さらにデジタルな要素も組み込まれているんですが、ベースには私の原点である歌謡メロディがしっかりあります。そこにさまざまなエッセンスを加えることで、新しい表現が生まれた1曲ですね。
MUSIC CLIPもこれまでにないテイストで、「原宿かわいい系」の要素を取り入れながら、着ぐるみを着てみたり、コミカルな要素を加えたり、メイクも奇抜にしてみたり……とかなり攻めていて、新しい扉を開いた感覚でした。
「Virtual Cruiser」も挑戦的な楽曲です。Aメロがいきなり英語から始まる構成になっていて、英語が苦手な私としてはドキドキでした(笑)。デジタルロックにエキゾティックな要素が加わっていて、新しいサプライズを届けられる楽曲になっています。
そして、私が作詞・作曲した「Awesome!」は、25周年をテーマにした特別な楽曲です。ファンのみなさんへの感謝の気持ちを込めて作りました。ぜひじっくり聴いていただきたいです。
――本当にさまざまな表現が詰まった1枚ですよね。水樹さんが作詞、吉木絵里子さんが作曲を担当されている「ツバサ」には、卒業ソングのような雰囲気を感じました。
水樹:まさにそうなんです。リリースされる3月は新しい環境に身を置く機会が多い時期でもあるので、そんな季節にぴったりな「出会いと別れ」をテーマにした曲を作れたらいいなと思いました。
吉木さんが手がけるバラードは私も大好きで、これまでもたくさんご一緒してきましたが、今回も温かく、聴く人の心にそっと寄り添うような1曲になっています。壮大でありながら、どこか身近に感じられるような音色に仕上がっていて、私自身とても気に入っています。
――今作を手に取るファンに向けて、「こんなふうに聴いてほしい!」というおすすめの楽しみ方があれば教えてください。
水樹:本当にどんなシチュエーションにもフィットする曲が揃っているので、ぜひいろんな場面で楽しんでいただきたいです。たとえば、「今日はなかなかスイッチが入らないな……」という朝に背中を押してくれるような曲もありますし、夜、ふと一人で落ち着きたいときには「Blueprint」のように、夜空を眺めながらしっとり聴ける曲も入っています。
もちろん、みんなで思いっきりはしゃげるパーティーソングもあるので、その日の気分やシチュエーションに合わせて楽しんでもらえたら嬉しいです。お出かけのときにも、おうちでのんびり過ごすときにも、ぜひ聴いてみてください!