『ヴィジランテ』梅田修一朗×長谷川育美×間宮康弘 もうひとつの“ヒロアカ”が映す、戦いと絆のドラマ

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4月7日よりTOKYO MX、BS日テレにて放送がスタートするテレビアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』。本作は『僕のヒーローアカデミア』(以下、『ヒロアカ』)の公式スピンオフとして、ヒーロー社会の陰で戦う“非合法ヒーロー”<ヴィジランテ>たちの姿を描く。クランクイン!では、放送開始を記念し、メインキャストの梅田修一朗(灰廻航一役)、長谷川育美(ポップ☆ステップ役)、間宮康弘(ナックルダスター役)にインタビューを実施。『ヒロアカ』本編との違いや、キャラクターへの思い、3人が生み出すチームの魅力について語ってもらった。
【写真】梅田修一朗、長谷川育美、間宮康弘のインタビュー撮りおろし&アニメ場面カットが満載!
■現場で生まれる“生きた演技”の魅力
――『ヒロアカ』の公式スピンオフである本作への出演が決まったとき、どのような気持ちでしたか?
梅田:最初は信じられなくて、マネージャーから連絡をもらったときも「本当に……?」という感じでした。でも、すぐに実感が湧いて、嬉しさと同時に身の引き締まる思いがこみ上げてきました。僕自身、『ヒロアカ』を見て元気ややる気をもらっていたので、そのスピンオフに関わることができるなんて、本当に光栄でした。それだけに「この世界の一員として応えなければ」という責任感も強く感じましたね。
梅田修一朗
長谷川:私は、とある作品の打ち上げが終わったあと、二次会に向かう途中でマネージャーから「そういえば、『ヴィジランテ』決まったよ」とさらっと告げられたんです。驚きすぎて思わず「ええっ!?」って、大きな声を出しちゃいました(笑)。頭の中が「やばいやばいやばい!」って一気にいっぱいになって、嬉しいよりもまず驚きの感情が先に来ましたね。そこからすぐに緊張感が押し寄せてきて、一気に『ヒロアカ』の世界に飛び込むんだ、という実感が湧きました。
長谷川育美
間宮:僕は『ヒロアカ』本編でギガントマキア役を演じているので、今回オーディションを受けさせてもらったんですが、正直「いや、厳しいかな」と思っていたんです。そんなある日、駅のホームでマネージャーから電話がかかってきて。「受かったよ」と言われた瞬間、「えー! 受かったの!?」と駅のホームに響き渡るくらい大声で叫んでしまいました(笑)。「まさか受かるわけない」と思っていた分、余計に嬉しかったです。
間宮康弘
梅田:もうナックル師匠は間宮さん以外考えられないですよ!
間宮:ありがとう(笑)。実はオーディションには裏話があって。航一とポップのキャスティングが決まったあとに、ナックルダスターの追加オーディションがあったんです。で、僕も追加で呼んでもらったんですが、おそらく航一とポップの2人はすでに決まっていて、その声を聞きながらお芝居する形だったんですよね。だから、僕が受かった理由の一つは、2人のお芝居にしっくりハマったからかもしれません。「このトリオならイケる!」と思ってもらえたのかな、と。
長谷川:たしかに、キャラクター同士の相性ってすごく大事ですよね。掛け合いのバランスが自然に取れるかどうか、そういうところもキャスティングの決め手になったのかもしれないですね。
間宮:そうそう。スタジオオーディションで彼らの声を聞いたとき、「あ、これは原作を読んでいたときに頭の中で聞こえていた航一とポップの声だ!」って思ったんです。それくらいしっくりきていたから、おそらくこの2人は決まりなんだろうなって、なんとなくわかりましたね。
テレビアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』場面カット(C)古橋秀之・別天荒人・堀越耕平/集英社・ヴィジランテ製作委員会
――『ヒロアカ』本編と同じく、音響監督は三間雅文さんが担当されていますが、収録時に受けたディレクションの中で特に印象に残っているものはありますか?
梅田:三間さんからは、キャラクターの内面をしっかり掘り下げることを強く求められました。航一だけでなく、それぞれのキャラクターが持つ価値観や人との接し方、何を大切にしているのかを深く理解した上で演じることが大事だと。視聴者が自然とキャラクターの気持ちを汲み取れるように、日常の何気ないシーンも、戦闘シーンも、一つ一つのセリフに確かな想いを込めることを意識しました。三間さんのディレクションのおかげで、演技により深みを持たせることができたと思います。
長谷川:ポップもそうですが、『ヴィジランテ』のキャラクターたちって、コミカルなシーンが多いんですよね。でも、ただ「面白いシーンだから」と軽く演じてしまうと、作品のリアリティが薄れてしまう。三間さんからも、「キャラクター自身は本気で怒っているし、悲しんでいる。視聴者から見て面白く映るシーンだったとしても、本人は決してふざけているわけじゃない」ということをよく指摘されました。ストーリーの流れ的に、つい笑いを狙いたくなるシーンもありますけど、そこはポップの感情が本物であることを大事にしながら、しっかりキャラクターとして生きることを意識しましたね。
間宮:僕は原作を読んだ状態で収録に入ったんですけど、それが逆に難しくなることもありました。『ヒロアカ』本編の収録のときも三間さんに言われたんですが、原作を知っていると、どうしても先の展開がわかってしまうんですよね。たとえば、キャラクターが驚くシーンで、本来なら初めて聞いた情報に対してリアルなリアクションをすべきなのに、先を知っているがゆえに「次にこうなるんだよな」と思ってしまって、リアルさが損なわれる。「間宮さん、それ知ってるでしょ?」って、何度も指摘されました(笑)。だからこそ、「今、この瞬間にキャラクターが何を感じているのか」を常に意識して、予定調和にならないように気をつけました。
長谷川:わかります。原作を知っていると、無意識に「こういう流れだよね」って考えちゃうことありますよね。でも、アニメはリアルタイムで展開していく物語だから、キャラクターが初めて経験する出来事は、演じる側も“初めての気持ち”で向き合わないといけない。
間宮:そうなんですよ。キャラクターのその瞬間の感情を大事にしないと、予定調和な芝居になってしまう。作品の持つダイナミズムが薄れてしまうので、毎回新鮮な気持ちで臨むことを心がけました。
梅田:本当に難しいですよね。でも、収録では妥協せず、納得いくまで追求させてもらえる環境だったので、1話1話を大切に作ることができました。
長谷川:「原作は忘れて!」って最初に言われましたもんね(笑)。
梅田:「この先二度と読むな」とまで(笑)。航一の視点で物語が進むからこそ、彼と同じく“何も知らない”状態で演じることが大事だったんだと思います。
間宮:多少は許される部分もあるんですけどね。でも、特に3人でプレハブの中で話しているシーンなんかは、リアルタイムで起こる出来事が多いので、先を読んでしまうと、無意識にオチへ向かって芝居を作ろうとしてしまう。それをやると、演技が予定調和になってしまうんですよね。だから、そうならないように気をつけるのは難しくもあり、同時に面白い部分でもあります。
テレビアニメ『ヴィジランテ -僕のヒーローアカデミア ILLEGALS-』場面カット(C)古橋秀之・別天荒人・堀越耕平/集英社・ヴィジランテ製作委員会