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要注目俳優・吉村界人、「怒られてばかり」の初舞台で超える“役者”の壁

エンタメ

 それでも、この苦闘を後押しする最大のモチベーションは、なんといっても作品の面白さだ。

 物語の舞台は、東京サマーランドの近くにあるガソリンスタンド。父親からこのガソリンスタンドを引き継いだ若い男のもとに中年男と連れの女が現れ、自分は異母兄弟だと名乗る。たった4人の登場人物たちが、店内で繰り広げる濃密な会話劇だ。

 ただ、一見シリアスな物語設定に見えながらも「結構笑えると思いますよ」とのこと。坂元裕二脚本ならではの軽妙なやりとりは、今作でもたっぷり観られそうだ。

 「僕が思う坂元さんらしい作品、といいますか。人間の弱い部分だったり、表面の裏側の部分……見えない部分を語っている気がします。その見えない部分が一番、“人間”なんじゃないか、という感じですね。僕が演じる主人公は一見生きやすそうに見えて、生きにくい人。自由自在なんだけどすぐ壊れちゃいそうで、ギリギリのところで生きてる感じがする人です。ただ、彼が抱えている“やっちゃいけないことをやってしまう”感じや、それで悩み苦しんだり、自分の生き方を肯定できない部分は、僕自身も共感できるところがある」。

 今眼の前にそそり立つ壁は高くとも、越えたら“役者”として得るものが多いのでは? と聞いてみると「絶対そうだと思います」と力強くうなずく。本番ではきっと私たち観客にも、その壁の“向こう側の景色”を見せてくれるに違いない。(取材・文・写真:川口有紀)

 舞台 明後日公演2018『またここか』は、9月28日~10月8日まで、東京・DDD青山クロスシアターにて上演。

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